二度目の細胞針と検査の話

紹介先病院の土地勘が一切無かったので、前日に下見へ行ってみて愕然とした。
その病院は見た目が古くて畑の中にポツンと建っていた。一気に不安になる。

当日は10時までに到着しておく必要があった為、自宅を8時半に出る。
紹介状を受付に渡し、外来に案内される。
医師の名前が診察室3番に書いてあった。

もう既に癌と宣告されている為、なんの不安も無かった。
なんでこんなに不安が無いのか。
昔から私は何があっても死なないという根拠の無い自信がそうさせているのか、現実逃避なのかわからなかった。
しかしそこは主人も一緒で、帰国して最初の一言が「大丈夫だぁ。」だった。

しばらくして診察室に呼ばれ中に入ると眼鏡をした細身の優しそうな先生が挨拶をしてくれた。

前の先生からどう聞いてる?
あぁ全部聞いているんだね。
ご主人は来られてない?(長男の参観日に行ってもらっていた)
今日、このまま検査と話を進めてもいい?
いい?分かった。じゃぁ検査していこう。

一通り話をして、再度エコーを撮るよと横になる。
ここだね。と、しこりの部分に何度もエコーを往復させる。
サイズを計り、1.5~8といったとこかな。。と呟いた。
そして申し訳なさそうに今度は大きい針で細胞診をすると伝えてきた。
その瞬間には麻酔が用意されており、針が大きいから麻酔するねと言った瞬間には麻酔が刺さっていた。乳腺の先生は何かと素早い。

細胞診の後、看護師さんが大きなガーゼで胸を押さえてくれる。先生がカーテンの外に出て、手術が必要だからもう日程を決めてもいい?と言ってくれた。もちろんです!と元気に答え、日付を指定してもらいその日で大丈夫だと答えた。

その瞬間、今までに無い感情が生まれ、癌と告知されてから初めて泣いた。手術が必要な病気なんだなと改めて理解したらなんだかどうしようも無くなった。
看護師さんに溜めちゃダメ。流して。拭いてあげるから!と言われて更に涙が出る。

先生がたっぷりと時間を取ってくれ、せっかく遠くから来てくれたから出来る検査を全てしようと言ってくれた。

血液検査、尿検査、心電図、胸部レントゲン、呼吸器機能検査。入院前の案内、説明。
10時前に到着し、全て終了したのは夕方だった。

主人が子供たちと病院に迎えに来てくれた。
長男が泣いていた。参観日はお母さんに来てほしかったと。
ごめんね。今後、こんな事が増えると思う。ごめんね。と抱き締める事しか出来なかった。