子供たちにお母さんは癌だと伝えた話

クリニックで告知を受け、さて自転車で帰ろうとしていたら末子を預かってくれている友達から電話が掛かってきた。
「タクシーで帰ってきな!!」海か川にでも落ちないかと心配になったらしい。
笑いながら真っ直ぐ帰るし!と伝えた。
実際真っ直ぐ帰れたし、冷静だった。
友達の家で昼ごはんを食べて、今後の事を話して幼稚園児のお迎えをして別れた。
小学生の長男が帰ってきて、晩御飯時、3人に話があると切り出す。

その時、長男は小1、次男は年中、長女は3歳。
子供が理解できる言葉を探す。
主人はまだ海外出張中だった。

癌って知ってる?

きいたことある!
知らなーい。何それ?

あのね、体って細胞ってのから出来てるのね。
おかーさんの細胞の一部が悪い細胞になっちゃってさ。それが癌って言うんだけど、悪い細胞がいい細胞までも攻撃して悪い細胞にしようとしてるの。

いい細胞を攻撃したらどうなるの?

沢山攻撃されたらさいあく死んじゃう。

おかーさん死ぬの?

まだ死なない。ただ、そんな悪い細胞がオッパイに出来ちゃったの。死なない為にそれを取る手術をすることになりそうなの。

へー!いつー?

まだ決まってない。明明後日大きな病院で調べてもらうんだよ。

取れば治るの?

それはまだわかんない。もしかしたらオッパイじゃないとこにも癌が出来てるかもなの。

そうしたらどうするの?

お薬でやっつけたり、また手術をするんだよ。

そうしたら大丈夫?

きっとね。

ふーん!そうかー!なーんだ。

さすが私の子供たちである。
理解してない!当たり前か。
でも、手術をするということ、今は死なないという事はわかったらしい。

ストレートに伝えたのには訳がある。
私の実家は遠くて直ぐに手伝ってもらえる環境ではない。
入院となると私の母が来ることになり、入院と伝えていなければ突然来る母と突然いなくなる私を子供達は心配するだろうし、母が誤魔化すのにも限界がある。
そして、主人は当時海外出張が多く、なかなか頼れる状態ではなかった為、通院の際、友人に預かってもらう事が増えると予想されたからだ。

その都度誤魔化す訳にはいかないと考えた。

結果伝えて良かった。

伝えたからこそ、うちでは癌という言葉が飛び交うし、子供達は私のオッパイをみて癌無くなったよね?と優しく撫でてくれる。
娘に至っては自分の胸を触って自分のオッパイは大丈夫か?と聞いてくる。
抗がん剤の度に副作用大丈夫?と聞いてくれる。

これでいいのだ。
私は堂々と癌患者になろうと決めた。